海外留学やワーキングホリデーなどを検討している人にとっては、治安の良さは決して譲れない条件のひとつでしょう。送り出す家族にとっても、できるだけ治安の良い国で留学生活を送ってもらいたいと願うのは当り前のことです。
カナダは世界的に治安が良い国として広く知られていますが、安心できる留学生活を過ごすためには、まずカナダの治安や犯罪状況などについてしっかり知っておく必要があります。心掛けておくべき危機管理についても紹介しているので、ぜひカナダへの留学等を検討している場合はぜひ参考にしてみて下さい。
1.カナダが治安の良いと言われる背景
カナダは建国から100年以上の歴史を持つ国ですが、実は隣国アメリカよりも約100年近く遅れて建国されています。銃によって我が身を守る銃社会となってしまったアメリカ社会を教訓に、建国時より法律によって厳しく銃規制が定められています。
基本的に、使用用途を明確にしたうえで、許可やライセンスを取得すれば所持は可能になりますが、一般人による銃の携帯は基本的には認められていません。そのため、アメリカ社会のように「もしものために」という護身用に銃を持ち歩くということはほとんどありません。徹底された銃規制法によって銃による凶悪犯罪件数が比較的少なく、治安の維持に貢献していると言えるでしょう。
2.カナダの犯罪率
世界的にも治安の良い国として挙げられるカナダですが、犯罪発生率(10万人当たりの犯罪認知件数)は日本と比較して約5倍となっています。比較的治安が良い国として留学初心者から経験者まで高い人気を誇っているカナダですが、日本と比較すると決して治安が良いとは言えないのが現実です。
カナダを代表する各都市トロント、モントリオール、バンクーバー、オタワ、カルガリーは、様々な調査機関において行われる世界で治安の良い都市ランキングTOP20に必ずランクインする都市となっています
さらに、イギリスの新聞であるエコノミストが発表している「治安の良い都市ランキング(2015年)」において、世界中の都市の中からカナダのトロントが世界第8位に輝くほどの治安の良さを誇っています。
もちろん、このランキングBest1に堂々と輝いたのは、日本の東京。つまり、日本の治安が世界から見た時にどれだけ優れているかが分かりますね。本の治安の良さは世界の各都市にはない屈指の高さを誇っていると言えるでしょう。
3.カナダに多い軽犯罪とは?
治安が良いカナダでも、犯罪は毎日起こっています。銃などによる凶悪犯罪が比較的少ないだけで、カナダで最も多いのが、スリ、置引き、ひったくりなどが挙げられます。このような軽犯罪は日本と比較して非常に多く、観光客や留学生が狙われることも少なくありません。「ほんのちょっとだから」といった日本並みの安心感や気の緩みから、一瞬バッグや荷物から目を離しただけで被害に遭ってしまうこともあります。
また、海外でも非常に便利なクレジットカードですが、最近では買い物やレンタカーのショップなどで金額がない伝票にサインだけを先に要求され、後に高額な金額を請求されるクレカ詐欺も増加しています。クレジットカードを利用する時は、必ずレシートや伝票で金額を確認してから決済するようにしましょう。
一方で、最近ではカナダでもテロによる凶悪事件も発生しています。カナダ滞在中は周囲の状況を注意しながら身の安全を確保する必要があることを念頭に入れておきましょう。
4.カナダ留学中に心掛けておきたい3つの危機管理
カナダは治安が比較的良いため、留学先や観光先としても高い人気を誇っていますが、決して世界で飛び抜けて治安が良いわけではありません。
治安の良さを過信するのではなく、危機管理をしっかり意識して自己安全の確保を心掛けるようにしましょう。
①貴重品や荷物は必ず目が届く場所に
カナダに多い犯罪は、観光客や留学生をターゲットにしたスリやひったくり、置引きです。もし被害に遭ってしまうと、貴重品を含めた被害品が戻ってくることはありません。高額な買い物やキャッシングが可能なクレジットカードやパスポートなどに貴重品が盗難に遭うと、被害はさらに大きくなってしまうことも少なくありません。
ちょっとした気の緩みや油断によって犯罪を招いてしまうことがほとんどです。財布や貴重品はできる限り身に付け、バッグや荷物から目を離すことのないようにしましょう。
②危険なエリアや通りには入らない
カナダの中でも人気の高いバンクーバーも治安の良い都市として知られていますが、実際は治安の良いエリアと悪いエリアがはっきり分かれています。バンクーバーのダウンタウンなど治安が悪いエリアやストリートは、北米の中で最も治安が悪いとも言われています。
バンクーバーに限らず、最近では治安が良くないエリアがガイドブックなどにも紹介されていることもあるので、渡航前にしっかりチェックして置くようにしましょう。また、観光ではガイドから、留学の場合は現地の人からも情報が入ってくるので、危険なエリアやストリートには決して興味本位で近付くことはしないようにしましょう。
③夜間の一人歩きはなるべく避ける
比較的治安の良いカナダでも、夜の一人歩きは非常に危険です。日中はとても安全なエリアでも、夜になるとその安全さが全く感じられないほど治安が一気に変わることがあります。ひったくりやスリだけでなく、暴行を加えた強盗やレイプといった犯罪発生率も一気に高まります。
夜遅くなってしまった場合は、一人で外を出歩かずにタクシーや公共交通機関などを利用するようにしましょう。
最終的に、自分自身を犯罪から守れるのは自分でしかありません。日本とは違う治安レベルを十分に認識し、危機管理を意識しながら気をしっかり引き締めてカナダ滞在を安全に楽しむようにしましょう。