マレーシア留学は「安いから」で選ぶと後悔する|実費用と3つの本当の価値【2026年版】

マレーシア留学は「安いから」で選ぶと後悔する|実費用と3つの本当の価値【2026年版】

「マレーシア留学 やめとけ」「マレーシア留学 デメリット」。この記事にたどり着いた方の多くは、こう検索してこられたと思います。

結論から書きます。「学費が安いから」という理由だけでマレーシアを選ぼうとしているのなら、やめておいたほうがいいです。期待している額ほどは安くならず、途中で「こんなはずじゃなかった」となる可能性が高いからです。

ただし、マレーシア留学そのものを否定しているわけではありません。私たちは現地の大学を実際に訪問して提携先を選んでいますし、進学した学生も見てきました。マレーシアの本当の価値は、費用ではなく別のところにあります。

この記事では、2026年時点の実際の金額を出したうえで、「安さ」以外の3つの価値と、正直なデメリットを4つお伝えします。

※本記事の為替は1マレーシアリンギット=38円、1米ドル=155円、1英ポンド=209円(2026年9月時点)で換算しています。学費は各大学が公表している2026年度の金額です。

マレーシア留学は本当に安いのか

目次

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まず金額を出します:マレーシアの大学は「年あたり」では劇的に安くない

費用の話は、具体的な金額で見ないと意味がありません。マレーシアの主要私立大学であるアジア太平洋工科技術大学(APU)が2026年の留学生向けに公表している金額です。

項目 金額(RM) 円換算
学位課程3年分の学費(SST6%込み) 115,010 約437万円
出願・ビザ・登録関連の初期費用 10,400 約40万円
生活費(月RM2,000×36か月) 72,000 約274万円
3年間の合計 197,410 約751万円

年あたりにすると約250万円です。

ここで日本の大学と比べます。日本学生支援機構(JASSO)が2026年3月に公表した「令和6年度学生生活調査」によると、私立大学に下宿して通う学生の学生生活費(学費+生活費)は年間268万9,100円。国立大学で下宿すると年180万700円です。

進学先 年あたりの費用 卒業までの総額
日本の国立大学(下宿) 約180万円 約720万円(4年)
マレーシアの私立大学 約250万円 約751万円(3年)
日本の私立大学(下宿) 約269万円 約1,076万円(4年)

見てのとおりです。年あたりで見れば、マレーシアは日本の私立大学に下宿で通うのとほぼ同じ。国立大学に下宿するより高くなります。

アメリカも含めた4年総額の比較は、海外大学の学費は日本の私大より安い?4年総額でマレーシア・アメリカ・日本を比較で一覧にしています。

それでも総額が下がるのは「3年で終わる」から

マレーシアの大学の多くはイギリス式で、学士課程が3年です。年あたりの金額が同じでも、1年分まるごと消えるため、日本の私立大学と比べた総額では約325万円下がります。

つまり、安さの正体は「学費が激安だから」ではなく「在学期間が1年短いから」です。ここを取り違えたまま行くと、現地に着いてから「思ったより出ていく」と感じることになります。

生活費は、何にいくらかかるのか

月RM2,000(約7.6万円)という数字だけでは実感が湧かないと思うので、内訳の目安を示します。マレーシア政府系機関のEMGSが示している留学生向けの水準です。

項目 月額の目安 円換算
学内寮 50〜150米ドル 約8,000〜23,000円
学外のアパート・シェア 100〜300米ドル 約16,000〜47,000円
光熱費・水道 40〜65米ドル 約6,000〜10,000円
食事(ローカル店の1食) 1〜3米ドル 約150〜470円
生活費の平均(EMGS提示) 約582米ドル 約9万円

住居費と食費が日本の都市部よりはっきり安いのは事実です。一方で、日本食を頻繁に食べる、輸入品を買う、日常的にタクシー(配車アプリ)を使うといった生活をすると、この目安はすぐに超えます。「物価が安い国に住む」のではなく「現地の生活水準に合わせる」ことで初めて安くなる、という理解が必要です。

さらに、上がる要素もある

  • SST(売上サービス税)6%:2025年7月から留学生の学費に課税されています。見積もりに必ず上乗せしてください
  • ブランチキャンパスは別格:ノッティンガム大学マレーシア校のビジネス系は年RM57,000(約217万円)で、APUの倍近くになります
  • ファウンデーション(進学準備課程):専攻によっては1年必要で、APUならRM28,400(約114万円)+生活費が追加されます

「安いから」という動機だけで来ると、この3つで計算が狂います。だから最初に申し上げたとおり、安さを理由にするのはおすすめしません。

価値①:学位は「西側」で取れる(ツイニング/ダブルディグリー)

マレーシアの大学でイギリスやオーストラリアの学位を取る

ここからが本題です。マレーシアを選ぶ理由として最も強いのは、マレーシアで学びながら、イギリスやオーストラリアの大学の学位が取れるという点です。

この仕組みはツイニング、またはダブルディグリーと呼ばれます。

具体例:同じ大学の学位が、半額以下で取れる

いちばん分かりやすいのがノッティンガム大学です。イギリスの名門校で、マレーシアに校舎を持っています。

在籍先 年間学費(ビジネス系・2026年度) 円換算
ノッティンガム大学マレーシア校 RM57,000 約217万円
ノッティンガム大学 イギリス本校 £24,700 約516万円

学位を出すのは同じ大学です。それでも学費は半額以下になります。生活費もイギリスよりマレーシアのほうが大幅に低いため、総額の差はさらに開きます。

学位記が2枚出るパターンもある

サンウェイ大学とイギリスのランカスター大学の提携は2006年に始まり、20年の実績があります。45プログラムが対象で、修了時にはサンウェイとランカスターの学位記が2枚発行されます。1年次を規定の成績(CGPA3.0)で修了すれば、ランカスター本校への編入も可能で、その場合は留学生向け学費が20%減免されます。

INTIインターナショナル大学とイギリスのハートフォードシャー大学の提携は1999年から続いており、3+0(すべてマレーシアで完結)、2+1、1+2といった組み合わせが選べます。

制度の詳細と対象プログラムはマレーシアで学んで英・豪の学位を取る「ツイニング/ダブルディグリー」完全解説にまとめました。

この仕組みがあるから、「安いから妥協した」ではなく「学位は変えずに、払う額だけ下げた」という説明が成り立ちます。これが、私がマレーシアを勧める最大の理由です。

価値②:大学の水準は、この10年で明確に上がった

マレーシアの大学のキャンパス

「マレーシアの大学は緩い」というイメージは、まだ根強く残っています。実際、以前の当記事にもそう書いていました。ただ、2026年の数字を見ると、その前提は修正が必要です。

2026年6月に発表されたQS世界大学ランキング2027では、マレーシアから32校がランクインしました。

大学 QS2027 世界順位 参考:日本の大学
モナッシュ大学(マレーシア校を持つ豪州の大学) 31位 東京大学 39位
マラヤ大学(UM) 56位 京都大学 64位
テイラーズ大学 272位 早稲田大学 201位
サンウェイ大学 354位 慶應義塾大学 213位

マレーシアの最高学府であるマラヤ大学は、過去最高の56位。日本でこれより上位にあるのは東京大学だけです。マレーシアで唯一の世界トップ100校でもあります。

もちろん、ランキングがすべてではありません。ただ「マレーシアだから水準が低い」という前提で語るのは、もう実態に合っていません。

分野で選ぶなら、大学の顔ぶれはこうなる

「マレーシアの大学」とひとくくりにされがちですが、学べる分野と強みは大学ごとにはっきり分かれています。主要な5校を整理します。

大学 種別 強い分野 特徴
マラヤ大学(UM) 国立・総合 総合(医・工・社会科学ほか) QS2027で56位。マレーシア唯一の世界トップ100
テイラーズ大学 私立 ホスピタリティ・観光 QS分野別2026のホスピタリティ&レジャーマネジメントで世界26位・東南アジア1位(9年連続)。20分野がランクイン
サンウェイ大学 私立 ビジネス・会計 ランカスター大学(英)と2006年から提携。修了時に学位記が2枚
APU 私立 IT・コンピューティング デモントフォート大学(英)とのデュアルアワード制度あり
ノッティンガム大学マレーシア校/モナッシュ大学マレーシア校 ブランチキャンパス 各本校と同じ学位 学費は本校より大幅に低いが、マレーシアの私大よりは高い

つまり、選ぶべき大学は「マレーシアで何を学びたいか」で決まります。ホスピタリティを学ぶならテイラーズ、ITならAPU、イギリスの学位を確実に取りたいならノッティンガムやサンウェイ、という組み立てです。

各大学の学費相場はマレーシアのおすすめ大学!費用相場はどれくらい?、留学費用の全体像はマレーシア大学への留学費用について徹底解説もあわせてご覧ください。

価値③:英語で学び、多様な環境に置かれる

マレーシアの多民族環境

マレーシアはマレー系・華人系・インド系が共存する多民族国家です。大学の授業は基本的に英語で行われ、学生同士の共通語も英語になります。

ここで身につくのは、英語力そのものより「文化的背景の違う相手と、当たり前に議論して物事を進める力」です。宗教も食習慣も祝日も違う相手とグループワークをすれば、前提が揃わない場所での仕事の進め方が自然に身につきます。

この感覚は、日本人だけの環境にいると意識しにくいものです。欧米留学でも得られますが、マレーシアはアジア圏の多様性を、生活として体験できる点が違います。

日本人が少ないことは、メリットにもデメリットにもなる

JASSOの調査(2024年度)によると、日本から海外へ留学した学生は91,054人。国別では次のとおりです。

日本人留学生数(2024年度) 前年度比
アメリカ合衆国 12,627人 −6.6%
オーストラリア 9,329人 +1.8%
韓国 8,360人 −0.3%
カナダ 6,736人 −11.6%
イギリス 5,381人 +6.8%
マレーシア 3,064人 +13.0%

マレーシアは10位で、アメリカのおよそ4分の1。一方で増加率は主要国のなかで最も高い13.0%です。日本人が少ない環境は、英語を使わざるを得ないという意味では有利に働きます。

ただし、日本人が少ないことを「就職で有利になる」と直結させるのは言いすぎです。有利に働くのは、そこで何を身につけたかを説明できる場合に限られます。

「マレーシアで何が取れるのか」を、大学ごとに整理してお伝えします

ツイニングで取れる学位、必要な成績と英語力、費用の総額を、ご希望の分野に合わせて具体的にお出しします。

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正直にお伝えするデメリット4つ

マレーシア留学のデメリット

① 日本国内での知名度が低い

マラヤ大学が世界56位でも、日本の採用担当者がそれを知っているとは限りません。「どこの大学か」から説明が必要になる場面は確実にあります。

この点は、ツイニングでイギリス・オーストラリアの学位を取っておくと大きく緩和されます。学位授与元が知られた大学であれば、説明の負担は下がります。

② 3年制学位の扱いは、事前に確認しておく

イギリス式の3年制学位も学士(Bachelor)です。ただし日本の一部の企業や大学院では、4年制課程との対応関係を確認されることがあります。日本で就職・進学する予定がはっきりしている場合は、志望先の募集要項で学歴要件を先に確認しておくのが安全です。

③ 英語の要件は低くても、入学後は英語で学ぶ

APUの場合、学士課程の英語要件はIELTS5.0〜5.5程度。欧米の大学より低い水準です。ただし要件未達で条件付き入学した場合、12か月以内に基準を満たせなければ帰国という扱いになります。

「英語が低くても入れる」は事実ですが、「英語ができなくても卒業できる」ではありません。ここを混同すると、いちばん苦しい形でつまずきます。

④ ビザと手続きは、思ったより手間がかかる

日本国籍の学生はVDR(Visa With Reference)の対象で、入国前に在外公館でビザを取得する必要があります。また在学中はEMGSの規定により、CGPA2.0以上・出席率80%以上の維持が求められます。

出願からビザまでの具体的な流れはマレーシアの大学の出願条件|必要な成績・英語力(IELTS)と出願の流れで解説しています。

卒業後はどうなるのか:3つの進路

マレーシアの大学を卒業したあとの進路

保護者からいただく質問で最も多いのが「その学位で就職できるのか」です。進路は大きく3つに分かれます。

① マレーシアで就職する

クアラルンプールには日系企業のアジア拠点が集まっており、日本語と英語の両方を使える人材の需要があります。ただし就労にはEmployment Pass(就労ビザ)が必要で、申請するのは雇用主です。給与水準や職務内容の条件があるため、現地就職を本気で考えるなら、在学中の早い段階で条件を確認しておいてください。

② 日本で就職する

日本での就職活動は、日本の大学生と同じ時期に動くことになります。3年制の場合、卒業時期と日本の新卒採用スケジュールがずれる点に注意が必要です。海外大学生向けのキャリアフォーラム(ボストンキャリアフォーラム等)を利用するルートが一般的です。

選考では「なぜマレーシアを選んだのか」を必ず聞かれます。ここで「学費が安かったから」としか答えられないと弱い。逆に「イギリスの学位を取るために、費用の合理性からマレーシア校舎を選んだ」と説明できれば、判断力の話に変わります。

③ 大学院に進学する

イギリス式の3年制学士は、そのままイギリス・オーストラリアの修士課程(1年制が多い)に接続できます。ツイニングで英・豪の学位を取っていれば、出願時の書類審査でも扱いが明快です。学部3年+修士1年=4年で修士号という組み方は、日本の学部4年と同じ年数で修士まで到達できる計算になります。

向いている人・向いていない人

向いている 向いていない
学位は英・豪で取りたいが、予算が届かない 「とにかく安く海外に出たい」だけが動機
英語で学ぶ環境に入りたい 日本人コミュニティの中で過ごしたい
3年で学士を取って早く動き出したい 日本国内の知名度を最優先したい
多民族環境での経験を仕事に結びつけたい 大学名だけで評価されたい
年250万円前後の予算を4年ではなく3年で使いたい 年150万円以下に抑えたい(=日本の国立大学が現実解)

最後の行は特に重要です。予算が年150万円以下なら、マレーシアより日本の国立大学のほうが安く済みます。費用だけで決めるなら、これが正しい答えです。

よくある質問

マレーシア留学に関するよくある質問

Q. 日本の高校を卒業してすぐ、マレーシアの大学に入れますか。

A. 入れるケースが多いです。日本の高校卒業は12年間の教育修了にあたり、EMGSが学位課程に求める要件を満たします。ただし専攻や大学によっては1年間のファウンデーション(進学準備課程)を求められます。志望校の要件を個別に確認してください。

Q. 英語力はどのくらい必要ですか。

A. APUの場合、ファウンデーションはIELTS4.0、学士課程はIELTS5.0〜5.5が目安です。欧米の大学より低い水準ですが、要件を満たさないまま条件付きで入学した場合、12か月以内に基準に到達できなければ帰国となります。

Q. マレーシアの大学は英語だけで卒業できますか。マレー語は必要ですか。

A. 私立大学やブランチキャンパスの授業は基本的に英語で行われ、学位取得に必要な学修は英語で完結します。日常生活でも、都市部では英語が広く通じます。

Q. 治安はどうですか。

A. 東南アジアのなかでは落ち着いているほうですが、スリや置き引きは日本より多いと考えてください。大学周辺の住環境は地域差が大きいため、住居は大学の寮か、大学が紹介する物件から検討するのが現実的です。

Q. アメリカやイギリスと迷っています。判断基準はありますか。

A. 予算で決まります。アメリカのカリフォルニア大学に4年間直接通うと総額は約5,586万円、コミュニティカレッジを2年挟んでも約3,847万円です(カリフォルニア大学の学費は実際いくら?費用の内訳を項目別に分解する)。マレーシアの約751万円とは桁が違います。年間250万円前後が上限ならマレーシア、それ以上出せるならアメリカ・イギリスも選択肢に入る、という順で考えるのが現実的です。

まとめ:安さは理由にならない。学位と環境が理由になる

  • マレーシアの大学は年あたり約250万円。日本の私立大学に下宿するのとほぼ同額で、国立より高い
  • 総額が下がるのは3年で卒業できるから。学費が激安なわけではない
  • 本当の価値はツイニングで英・豪の学位が取れること。ノッティンガム大学なら同じ学位が半額以下
  • 大学の水準も上がっている。マラヤ大学はQS2027で56位(京都大学64位より上位)
  • デメリットは、日本での知名度・3年制学位の扱い・入学後の英語・ビザ手続きの4点

「安いから行く」のではなく、「この学位を、この金額で取りにいく」と言えるかどうか。それがマレーシア留学で後悔しないための、ほぼ唯一の分かれ目だと考えています。

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ご予算・成績・英語力・希望分野をうかがい、マレーシアが合うか、別の国のほうがよいかを正直にお伝えします。合わないと判断した場合は、その理由もお伝えします。

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