📅 最終更新:2026年9月(2023年のノルウェーの学費有償化を反映し、各国の政府公表値で全面的に作り直しました)
最初に、この記事の旧版に書いていた情報を訂正します。ノルウェーはもう学費無料ではありません。2023年秋から、EU・EEA・スイス以外の国籍の学生には授業料が課されるようになりました。その結果、ノルウェーへの留学生は8割減しています。
「留学が安い国」の情報は、こうして数年で引っくり返ります。そこでこの記事では、各国政府が公表している数字を使って組み直しました。具体的には次の3層で比べます。
- 政府に払うお金(ビザ申請料)── 各国政府の公表値
- 生活費の公的基準額 ── ビザ審査で示すよう求められる額
- 学費 ── 学校・統計機関の公表値
※円換算は2026年9月23日時点のレート(1米ドル158円/1カナダドル112円/1豪ドル112円/1ポンド210円/1NZドル90円/1リンギット38.7円)で計算しています。
「安い国」を探している段階でも、目的によって最適な国は変わります。学位を取りたいのか、英語を伸ばしたいのか、働きたいのかで、答えがまったく違ってきます。
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結論:目的別の「一番安い国」
| 目的 | 最も安い選択 | 年間の目安 |
|---|---|---|
| 英語圏の学位を取りたい | マレーシア(ツイニング) | 学費 約140万円 |
| 英語を短期集中で伸ばしたい | フィリピン | 3か月 約50万〜80万円 |
| 英語圏で生活費を抑えたい | ニュージーランド | 生活費の基準額 約180万円 |
| 働きながら滞在したい | カナダ(週24時間) | ビザ代 約2.6万円 |
| とにかく渡航費を抑えたい | 韓国・台湾 | 往復3万〜8万円 |
ここから、それぞれの根拠を数字で見ていきます。
政府に払うお金は、国で10倍違う
まず値切れない固定費から。却下されても返ってきません。
| 国 | ビザ関連(初年度) | 円換算 |
|---|---|---|
| カナダ | CAD$235 | 約2.6万円 |
| ニュージーランド | NZ$850〜 | 約7.6万円 |
| アメリカ | $535〜785 | 約8.4万〜12.4万円 |
| マレーシア | 約RM2,738 | 約10.6万円 |
| イギリス | £558+医療付加金£776 | 約28.0万円 |
| オーストラリア | A$2,500 | 約28万円 |
カナダの約2.6万円とオーストラリアの約28万円で10倍以上の開きがあります。オーストラリアは2026年7月に引き上げられ、しかも日本は減免の対象外です。
ただしビザ代は総額から見れば小さな項目です。効いてくるのは次の生活費です。
生活費の「公的基準額」で比べる
ここが実務でいちばん効く数字です。多くの国は、ビザ審査で示すべき生活費の額を政府が公表しています。実際の支出ではなく審査上の下限ですが、資金準備の目標として使えます。
| 国 | 生活費の基準額(年) | 円換算 |
|---|---|---|
| マレーシア | 一律基準なし | 実費のみ |
| ニュージーランド | NZ$20,000 | 約180万円 |
| イギリス(ロンドン外) | £10,539(9か月) | 約221万円 |
| カナダ | CAD$23,448 | 約263万円 |
| イギリス(ロンドン) | £13,761(9か月) | 約289万円 |
| オーストラリア | A$29,710 | 約332万円 |
英語圏で最も低いのはニュージーランドの約180万円。オーストラリアとは年150万円以上開きます。同じ英語圏で、ここまで差があります。
マレーシアとアメリカには一律の基準がありません。マレーシアは学校とEMGS(マレーシア政府の留学生サービス機関)の要件、アメリカは学校が発行するI-20に記載の額によります。
【1位】マレーシア|英語圏の学位が最も安く取れる
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 学費(大学・学部) | 年約RM36,000=約140万円 |
| ビザ関連(初回一式) | 約RM2,738=約10.6万円 |
| 生活費の公的基準 | 設定なし(実費) |
学費はオーストラリアの約4分の1、アメリカの私立の約5分の1です。しかもマレーシアにはツイニングという制度があり、マレーシアで学びながらイギリスやオーストラリアの大学の学位を取得できます。
「安いから質も低いのでは」という疑問は自然ですが、学位を出すのは提携先の英・豪の大学です。→ マレーシアで学んで英・豪の学位を取る「ツイニング/ダブルディグリー」完全解説
ただし「安いから」という理由だけで選ぶと失敗します。向き不向きはこちらに書きました。→ マレーシア留学は「安いから」で選ぶと後悔する|実費用と3つの本当の価値
【2位】フィリピン|短期集中なら最安
セブ島を中心に、マンツーマン授業が中心という他国にない特徴があります。1日6〜8コマの個人レッスンを、欧米の半分以下の費用で受けられます。
学費・滞在費・食事がセットの料金になっている学校が多く、3か月で50万〜80万円程度が目安です。渡航費も往復5万〜10万円と安く済みます。
向いているのは「話す量を短期で最大化したい」人です。逆に、欧米の大学進学を目指すアカデミックな英語には向きません。フィリピンで基礎を作ってから欧米へ渡る2カ国留学が、費用対効果の面では合理的です。
【3位】ニュージーランド|英語圏で最も生活費が軽い
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 学生ビザ申請料 | NZ$850〜=約7.6万円 |
| 生活費の基準額 | 年NZ$20,000=約180万円 |
| 就労 | 学期中 週25時間(英語圏で最も緩い) |
英語圏に絞るなら、ニュージーランドが最も条件が良い国です。生活費の基準額がオーストラリアより150万円以上低く、就労上限は2026年に週20時間から25時間へ緩和されました。生活費の一部を現地で補いやすい構造です。
学費はオークランド大学の学部でNZ$40,225〜58,009(約362万〜521万円)。決して安くはありませんが、生活費と就労条件を含めた総額では英語圏で最も現実的な選択肢になります。
【4位】韓国・台湾|渡航費と時差がほぼゼロ
費用の内訳で見落とされがちなのが渡航費です。欧米往復が15万〜30万円かかるのに対し、韓国・台湾は往復3万〜8万円。時差も1時間以内で、一時帰国も現実的です。
英語留学先としては主流ではありませんが、大学の英語課程(English-taught program)は増えています。学費も欧米の半分以下です。「まず海外で暮らしてみたい」という段階なら、心理的にも金銭的にもハードルが最も低い選択肢です。
【5位】マルタ|ヨーロッパで英語を学ぶ最安ルート
地中海の島国で、英語が公用語です。ヨーロッパで英語を学びたい場合、イギリスやアイルランドより学費・生活費とも大幅に安く済みます。
EU圏内のため、滞在中にヨーロッパ各国へ移動しやすいのも利点です。ただし日本からの直行便がなく、渡航費は欧米と同等かそれ以上かかる点は計算に入れてください。
【訂正】ノルウェーはもう「学費無料の国」ではありません
この記事の旧版では、ノルウェーを「学費無料で留学できる国」として紹介していました。この情報は現在誤りです。
ノルウェーは2023年秋から、EU・EEA・スイス以外の国籍の学生に授業料を課すようになりました。日本国籍の学生は対象になります。制度変更後、ノルウェーへの留学生は約8割減少したと報じられています。
なお、2023年秋より前に入学が決まっていた学生と交換留学生は対象外です。
「学費無料の国」という情報は、制度変更で一気に無効になります。1年以上前の記事に書かれた無償制度は、必ず現在も有効か確認してください。
「安い国」を選ぶときに見落としがちな3点
1|渡航費と保険は国で倍以上違う
学費だけ比べても総額は出ません。渡航費(3万〜30万円)、保険(8万〜25万円)、住居の初期費用(10万〜30万円)が乗ります。イギリスのように医療付加金を払えば公的医療が使える国は、民間保険が不要になるぶん実質が変わります。
2|働けるかどうかで実質負担が変わる
| 国 | 学期中の就労上限 |
|---|---|
| ニュージーランド | 週25時間 |
| カナダ | 週24時間 |
| オーストラリア | 2週間48時間 |
| イギリス | 週20時間(学位課程) |
| アメリカ | 週20時間・学内のみ(1年目は不可) |
| マレーシア | 原則不可(長期休暇中のみ週20時間) |
ただしどの国でも、ビザ申請の資金証明で「働いて払う」は認められません。就労は渡航後に生活を楽にする手段であって、審査を通す材料にはなりません。
3|為替で数十万円動く
オーストラリアの生活費基準A$29,710は、1豪ドル112円なら約332万円ですが、100円なら約297万円、125円なら約371万円です。同じ留学で70万円以上動きます。円換算の数字を見るときは、必ずレートと日付を確認してください。
よくある質問
Q. 一番安いのは結局どこですか?
目的によります。学位を取るならマレーシア(学費年約140万円)、短期で英語を伸ばすならフィリピン、英語圏で生活費を抑えるならニュージーランドです。「安い国」を1つに決めることはできません。
Q. 学費が無料の国はもうありませんか?
ヨーロッパの一部には、留学生の授業料が無償または低額の国が残っています。ただし制度は数年単位で変わります。ノルウェーのように突然有償化される例があるため、必ず今年度の公式情報で確認してください。また授業料が無料でも、生活費とビザ費用はかかります。
Q. 安い国は教育の質も低いのでは?
必ずしもそうではありません。マレーシアのツイニング制度で得られるのはイギリスやオーストラリアの大学の学位です。フィリピンのマンツーマン授業は、欧米のグループレッスンより発話量が多くなります。費用と質は比例しません。
Q. 費用を抑えるために、まず何をすべきですか?
「国」ではなく「型」から決めてください。語学留学・ワーキングホリデー・カレッジ・大学のどれを選ぶかで、総額は数倍変わります。国選びはそのあとです。
まとめ
「留学が安い国」は、目的によって答えが変わります。
- 学位を取るなら マレーシア(学費 年約140万円、ツイニングで英・豪の学位)
- 短期で英語なら フィリピン(マンツーマン中心、3か月50万〜80万円)
- 英語圏で生活費を抑えるなら ニュージーランド(基準額 約180万円、週25時間就労可)
- 渡航費と時差を抑えるなら 韓国・台湾
そしてノルウェーは2023年秋に学費無償を終了しています。数年前の情報のまま計画を立てないでください。
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