あなたは医学留学と聞いてどの国を連想しますか?医療先進国であるアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどが主な留学先として思い浮かぶかもしれませんね。
近年では海外のインターン制度を利用したり、海外の医学部を希望する人が増えています。日本も国際化が進み、医療英語の必要性も高まるばかりです。
今回はオーストラリア医学留学について、現地の医療制度や現地で医師として働く方法を中心にご紹介します。
1.医学留学で知っておきたい!オーストラリアの医療と福祉事情
オーストラリアに医学留学するなら、まず現地の医療や福祉事情を知っておきましょう。
世界最高水準の医療制度があるオーストラリア
オーストラリアには世界でも高水準の医療制度を誇る国です。国民と永住権を持つ住民はMedicare=メディケアと呼ばれる健康保険が利用できます。
日本の医療制度と違う点は、診察や通院、入院費用などの医療費が無料であることです。例外で高額の医療システムを必要とする場合でも、後から相当額の払い戻しがあります。質の高い医療制度が無料で受けられるのはオーストラリアで生活する最大のメリットだと言えます。
ただし、歯科や眼科についてはメディケア適用外になりますので注意が必要ですが、別途民間の保険に加入していればカバーできます。
医療機関の分類は5つ
オーストラリアの医療機関には5つの分類があります。
- 一般開業医 General Practitioner=GP
- 専門医 Specialist
- 病院 Hospital
- 薬局 Chemist
- 検査機関 Inspection organization
オーストラリアでは日本のように耳鼻科、眼科、皮膚科に直接行くことはなく、最初にGPで診察を受けてから、さらに専門医の治療が必要な場合は紹介状を書いてもらって診察を受けることになります。
たとえ耳が痛くても、目が充血していても、湿疹が出ていても、まずはGP(開業医)で診てもらい、そこで診察可能な場合は処方箋をもらって様子を見ます。日本とはシステムが全く違いますね。
余談ですが、私がオーストラリアに住み始めて3カ月のこと。朝、気付くと何だか耳が痛いので近所の耳鼻科を探していました。ところが「耳鼻科」というものがない!オーストラリアの医療システムを理解していなかったので、ちょっとびっくりしたのを覚えています。結局外耳炎でしたが、GPで処方箋をもらって直してもらいました。
2.医学を学ぶには医療英語が必須【オーストラリアで医療現場を体験】
日本の医療現場でも医療英語の必要性が高くなってきています。
日本の医療現場で必要なのは英語が話せる人
近年の日本の国際化にともない、医療現場では英語が話せる人材が必要になってきました。しかしながら、まだまだ英語が話せる人材は不足している状況です。これからの日本の医療現場には「医療英語」が必要とされ、医療英語ができる人への需要は急速に高まっています。
医療英語は患者とのコミュニケーションをはじめ、診察の順序、検査の方法、病気や症状の説明、薬の飲み方など多岐に渡ります。この医療英語をオーストラリアで習得する現役の医師や看護士、これから医者や看護師を目指す人は確実に増えています。
医療現場で実践を積むことが目的
オーストラリアへの医学・医療留学では現地の医療機関で実践的な実習ができるため、日本でも使える技術やノウハウを習得することができます。日本とオーストラリアの医療の違い、診察の違い、患者とのやりとりの違いなど、医療英語以外に学ぶことはたくさんあります。
OETを受験しよう!
OETとはOccupational English Testのことで、医療や医学従事者を対象とした英語能力試験です。オーストラリアで看護師や医師を目指すなら、IELTSと並行して取っておいたほうが就職にも有利です。
3.オーストラリアで医師になるには?
医師としてオーストラリアで活躍する方法をご紹介します。
オーストラリアの医師制度は登録制です
日本で医師になるには医師の国家資格が必要ですが、オーストラリアでは登録制になります。医師として働くには3つの方法をご紹介しましょう。
- AMC(Australian Medical Council)という医師試験に合格する:AMCに合格し、なおかつ実技審査で認めてもらう方法です。
- AMCが認定する医療専門査定期間で認定をもらう:AMCが認定する医療専門査定機関で技術や知識を認めてもらう方法です。
- オーストラリアの医科大学の卒業資格を得る:最もダイレクトな方法が、オーストラリアの医科大学に入学し、卒業資格を得ることです。この場合はAMCの受験の必要もなく、実技審査のみとなります。
4.日本で医師として勤務経験がある人はインターンとして働くチャンスもある
日本で医師として働いている人は、オーストラリアにインターンとして勤務することも可能です。まだまだ実績は少ないですが、医療先進国オーストラリアで医療現場において実践を積むことができることは大きなメリットと言えます。
インターンの仕事は医療現場での医療活動の他、オン・コール(自宅待機)や医療研修などがあります。オーストラリアと日本の医療制度や診察プロセスの違い、セカンドオピニオンの重要性、患者との距離など、さまざまな経験のチャンスが待ち受けています。
オーストラリアの医学留学はまだまだ情報が少ない部分がありますが、日本からも1人でも多くの勇士が海外へ医学留学に旅立って欲しいと思います。