英語では、“You are what you eat”(あなたはあなたの食べたものでできている)と言いますが、イギリスでの留学生活、どんな食事の選択肢があるでしょうか。
また、イギリスの料理はまずいのか?イギリス留学前に気になる食生活をまとめてみました。
1.イギリスの食事は本当にまずいの?
イギリスに住んでいると、日本の友達に「ご飯、まずいんでしょ?」と言われることが多いでですが、留学していた4年間正直、そんなに気にならなかったです。
もちろん、日本に帰ったら寿司やらラーメンやら食べたいと思っていたけれど、それは多分少しホームシックで無い物ねだりだったのだと思います。
それに留学中、親からの仕送りと微々たるアルバイト代でやりくりしていたのもあって、外食は少なく基本的に自炊していたので、みんなが言う程「まずい」ものに出会ったこともなかったです。
金銭的にも健康的にも、自炊をすることをお勧めします。
2.イギリス料理のイメージって?
イギリス料理と言って何をイメージしますか?フィッシュ&チップスでしょうか?それともイングリッシュ・ブレックファースト?
イギリス料理はあまり日本では馴染みがないですし、イギリス料理はフレンチやイタリアンのようにパッとしないのも確かです。
イギリスの食事について考える際に大切なのは、「イギリスで食べる食事」と「イギリス料理」を混合してはいけないということです。
「イギリスで食べる食事」はランダムにイギリスで食べる料理、すなわちレストランや学校の食堂、ホームステイ先のお母さんの料理などがいっしょくたになっています。
対する「イギリス料理」はイギリスの伝統料理とそれを基にしたモダン・ブリティッシュの料理を指しているので分けて考えた方が良いでしょう。
3.「イギリスで食べる食事」がまずいと言われる理由
①野菜が柔らかすぎる
多分、イギリスで食べる食事についての批判No.1は付け合わせの野菜(人参やブロッコリー)の歯ごたえがなくなる程柔らかく茹でられていることでしょう。
明確な理由はありませんが、柔らかく茹でた野菜を好むイギリス人が多いですようです。
あくまで私の推測ですが、肉やグレービーソースと混ぜて食べやすくするのではないでしょうか。
例えば、フィッシュ・アンド・チップスについてくる “Mushy peas(マッシー・ピーズ)は、名前の通り “Mushy(ドロドロ・ぐちゃっ)”とした食感のサイド・ディッシュで、柔らかく煮たマローファット・ピーズ(青エンドウ豆)を軽くつぶしてバターと塩コショウで味付けします。
イギリス人にとってはおなじみのサイド・ディッシュですが外国人にとって不可解な存在で、ディップなのか、付け合わせなのかよくわからないものです。
②味気ない
「野菜が柔らかい」の次に良く聞く批判は、「味気ない」です。
食べる際に自分で塩をふったりして味を調整するように調理してあるためか、全体的に味気なく感じる日本人が多いです。
あとはハーブやダシなどがあまり効いていない場合も多く、それも味気ない理由だと思います。
③味が混ざる
和食では一食で料理に合わせていくつかの器を使いますが、イギリスでは一般的に大きなお皿1枚にスープ以外のものを盛ります。
サラダや、お肉、ポテト、付け合わせなどを全て同じお皿に盛るので、別々の器で食べることに慣れている日本人にとっては、味が混ざったり、食感が変わったりすることを不快に感じるのでしょう。
④やたらポテトが多い
日本人が毎食お米を食べるように、イギリス人はジャガイモを主食にしています(パンも食べますがジャガイモの方が多い)。
フライドポテトにマッシュポテト、ジャケットポテト(オーブンで焼いたジャガイモの真ん中を切ってチーズや具を詰める料理)。
毎食ジャガイモが出てくるので、お米大好きな日本人はやっぱり飽きちゃいますね。
4.イギリスの食事=まずいは、ステレオタイプ?
イギリスの伝統的な料理はヴィクトリア王朝以前、ヨーロッパの中でもかなり優れていたと言います。
諸説ありますが、ヨーロッパ最古のレストランの一つにはパリに1782年に開店した“La Grande Taverne de Londre(ロンドンの立派な居酒屋)”というレストランがあり、イギリス風の料理を提供し、大変人気を博したのもその表れでしょう。
ヴィクトリア王朝以前のイギリス料理はヨーロッパの中でもピカイチだったようですが、ヴィクトリア王朝に普及したエチケットやテーブルマナーの理念と疫病予防のために過度に食材を加熱しました。その結果、食事自体の味はないがしろにされてしまったようです。
そして、世界大戦による長期的な食料の配給制度が追い討ちをかけるようにイギリスの食を駄目にしたとイギリス人は考えています。
イギリスでは第二次世界大戦中の1939年から1952年まで食料の配給制度が導入され、思うように食料が手に入らず、料理が満足にできないできてしまいました。
そして、その子どもの世代も、料理ができない親に育てられたため料理ができなくて食に興味のないイギリス人が増えたのです。
イギリス人に言わせると戦後、すぐに立ち直ることのできなかったイギリス料理は今やっと立ち直っているそうです。
最近ではヴィクトリア王朝以前の古い書物に載っているレシピを研究したり再現をする料理研究家が話題になったり、伝統料理をモダンにアレンジした料理を提供する有名シェフも増え、イギリス料理は再生の道をたどっているようです。
ここ10年、食育や環境保全の観点からもイギリスでは食(料理・素材)が見直されるようになり、かなりイギリスで食べる食事のレベルは上がっているので、レストランなどでまずい料理に出会う確立はかなり減ったと思います。
ちなみに同じイギリス国内でも、スコットランドは農場が多く、新鮮な野菜やお肉や魚が手に入り美食家が多いので、スコットランド人に「イギリスの料理ってまずいよね」と言うと激怒されます。彼らに言わせるとまずいのは「イングランド料理」だそう。
5.イギリス留学中に食事がまず過ぎたらどうすればいい?
①自炊する
自炊するのが一番手っ取り早い解決手段です。手に入らない食材も多いですが、想像力を使えば自分好みの料理を作れます。
詳しくは別記事の「イギリス留学で楽しく自炊」をご覧ください。
②ホームステイ先の食事が合わない時は?
テーブルにある調味料で味を調整したり、ホストファミリーに思い切って不満を伝えてみましょう。詳しくは別記事の「楽しいホームステイのススメ」をご覧ください。
③美味しいお店を見つける秘訣
外食する時、美味しお店を見つける簡単な方法は、ずばり知り合いにおいしいお店を教えてもらうことです。
特に中華料理なら中国人に、イタリア料理ならイタリア人においしいお店を尋ねると、はずれることはまずないです。
基本的に家族経営の小さいレストランで1から調理しているところがオススメです。
6.イギリス留学中の食生活を攻略する!
ここでは一般的かつオススメなイギリス風の食生活をご紹介します
朝食編
①フル・イングリッシュ・ブレックファスト
イギリスの朝食と言えばやっぱり “Full English breakfast(フル・イングリッシュ・ブレックファスト)”です。
ホテルや地元のカフェで食べられる朝食で、ベーコン、ソーセージ、ブラック・プディング、卵、焼きトマト、マッシュルーム、ベークド・ビーンズ、トーストがスタンダードなメニューで、全部のせを注文するとかなりのボリュームです。
ちなみにこれも一皿に盛られてくるのが一般的なので味が混ざるのが苦手な方には難しいかもしれません。
好みや食べられる量に応じて(卵の焼き方やトーストの焼き加減など)細かく注文できます
②オートミール
日本でも今密かなブームになっているオートミールもオススメです。
オートミール(オーツ麦)は水や牛乳で煮て”Porridge(ポーリッジ・お粥)”にしていただきます。
ブラウンシュガーやフルーツ、冷たい牛乳を加えて好みの味にするのがイギリス風。温かく食物繊維やミネラルがたっぷりなので便秘解消や美肌効果が期待でできます。
③ベーグル
朝食にはベーグルもオススメです。
おしゃれなカフェでクリームチーズとスモークサーモンを挟んだベーグルも良いですが、地元の老舗ベーグルショップで食べる”Salted Beef(ソルテッド・ビーフ)”は絶品です。
塩漬けした牛肉をゆっくり調理してほぐす前のコンビーフみたいな感じです。
昼食編
①ジャケット・ポテト
“Jacket Potato(ジャケット・ポテト)“は安くてボリューム満点でオススメです。
オーブンで皮ごと、丸ごと焼いた大ぶりのジャガイモの真ん中をナイフで開けて、チーズやサワークリーム、ミートソースなどのフィリングを入れて食べます。
学校や大衆食堂などで食べられる定番メニュー!
②スープとバン
スープとパンのセットも定番ですがオススメです。なかなかスープをまずく作るのは難しいし、塩こしょうで味の修正が容易にできます。
野菜もたっぷり採れるので腹持ちも良く昼食にはもってこい。
③サンドイッチ
サンドイッチ屋さんで好みのサンドイッチを作ってもらうのも良いです。
中身の具だけではなく、パンの種類や味付けなども注文できるので自分好みのサンドイッチが出来上がるでしょう。
私のお気に入りは、大学の近くのサンドイッチ屋さんで作ってもらうチャバッタにチキンとアボカドサラダを挟んだサンドイッチでした。
夕食編
①ロースト・ディナー
日曜日の夕飯の定番はズバリ “Roast dinner(ロースト・ディナー)”で、“Sunday Roast(サンデー・ロースト)” とも呼びます。
オーブンで塊のままじっくりと焼いた牛肉や羊肉を野菜とヨークシャー・プディング(しぼんだパンみたいなもの)を一盛りにして最後にグレービーソースを全体的にかけます。
このときポイントなのは、手作りのグレービーソースです。
グレービーソースとは本来焼いたお肉の肉汁に小麦粉を加え、ワインとバターでとろみのついたソースに仕立てるのですが、粉をお湯で溶かすインスタントのグレービーソースはあまり美味しいとは言えません。
②チキン・ティッカ・マサラ
インドカレー、とりわけチキン・ティッカ・マサラはイギリス人のソールフードと言って良い程、愛されているメニューです。
インドは長らくイギリスの植民地だったこともあり、イギリスに住むインド人も多く、インド料理屋さんは小さな街でも必ずあります。
味気ないイギリス料理に飽きたら、スパイシーなインドカレーで胃袋を刺激しましょう。
③ピザ
イタリア料理屋もどんな街にでもあるので、見つけやすく、日本人の舌に合う味付けです。
特に看板に “Pizzeria(ピザ屋)”と書いてあるお店は家族経営率が高く、美味しいお店が多いです。
基本的にピザは一人1枚頼み、フォークとナイフで食べるイタリア風の食べ方が一般的のようです(日本でよく見る食べ方はアメリカ風)
いかがでしたか?イギリスでの留学生活、不安なことは多いけれど食事面では乗り切れそうじゃないですか?
イギリスの食事はまずい、まずいと人は言いますが、美味しいものはたくさんありますよ!