カルシウムが豊富にとれる牛乳や朝食に欠かせないヨーグルト、サラダやパスタで美味しさをひき立てるカッテージチーズやモッツァレラチーズなど、毎日何気なく口にしているのが乳製品です。いったい、どのように生産されているのか興味がある人もいるのではないでしょうか。
こういった乳製品は酪農家の方々が苦労と努力を重ねて生産しているものです。本当にありがたいですよね。その作業や工程は一定の技術やコツ、感や知識などが必要になってきます。
ここでは酪農王国であるニュージーランドへの酪農留学についてご紹介しています。酪農の基本知識、ニュージーランドで農業・酪農が学べる学校を挙げて解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。
1.知れば知るほど好きになる!酪農の魅力
まずは、酪農についての魅力からご紹介します。
そもそも「酪農」とは
酪農と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?酪農とは農場や牧場などで羊、牛、ヤギなどを飼育してミルクや乳製品(チーズ、バター、ヨーグルト等)を生産する農業を指します。
酪農に対して「畜産」とは酪農を含める大きなカテゴリーを意味し、家畜を殖やしながら乳を含める卵や肉、皮革を生産する畜産業を指します。シンプルに言うと、酪農はミルクや乳製品の産業ということになるので、どちらかというと「乳業」に近いニュアンスがありますね。
酪農の仕事とは
酪農はお乳を搾って生乳の生産をしたり、お乳からヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品を加工生産する仕事です。そうはいうものの、実際の仕事は良質の牛や羊を育てる段階から始まるため、仕事の内容は深く多岐に渡り、朝晩の搾乳、牛舎の清掃、餌やり、健康管理、牧草の栽培、お産の補助、子牛の世話などがあります。
酪農の仕事は体力と技術が必要になりますが、都会の喧騒を離れて、たくさんの牛や羊に囲まれながら、牧場で生活できるのは魅力的ですね。
酪農家を支援する地域あり
近年、酪農家が抱える問題として深刻な跡継ぎ問題や乳製品の低迷が挙げられますが、このような背景もあり、毎年150以上の牧場が廃業をしている現状があります。
一定の地域では酪農家を積極的に誘致し、金銭的・技術的に支援をしているところもありますので、利用してみましょう。加えて、酪農産業への就職状況は未経験可のところが多いので、比較的スムーズに仕事が見つかると言えるでしょう。
農業大学に通うのが一般的
乳製品を生産するには高度で専門的な技術が必要になるため、酪農家を目指す人や酪農家の跡継ぎの人は、牧場に勤務しながら技術を習得するか、農業大学に進学して酪農に関する勉強をするのが一般的です。
農業学校では良質な牧草作りの方法や酪農経営の基礎、家畜の衛生学と管理、OJTとして搾乳トレーニングやトラクター器具の取り扱い方など多くのことを学びます。
2.ニュージーランド酪農留学おすすめの学校
ニュージーランドで酪農についての専門分野が学べる学校をご紹介しましょう。
National Trade Academy
National Trade Academy
Our Training Centre offers specialist purpose-built facilities to ensure you receive quality, professional training.
クライストチャーチにある酪農を含む農業系の学校です。学校のの敷地が70ヘクタールと広大で、コースに必要な器具や道具も豊富に整っています。学業と技術の両方がしっかり学べるのが特徴です。
Lincoln Univeristy
Lincoln Univeristy
In 1896, with agriculture now well established as the mainstay of New Zealand’s exports, the School of Agriculture separated from Canterbury College and became Canterbury Agricultural College, with its own governing body and the ability to award degrees through the University of New Zealand.
クライストチャーチにある農業系の大学と言えばリンカーン大学です。所有するデイリー・ファームでは、牛や羊などの飼育や管理、また大学に隣接する酪農デベロップメント・センターではより専門的な研究が行われています。
Massey University
Massey University
Massey University offers a range of undergraduate and postgraduate degrees, diplomas and certificates to students from around New Zealand, and the world.
オークランドにキャンパスを持つマッセィ大学。酪農に関してのリサーチ機関が優れていることで有名で、多彩な酪農プロジェクトも盛んに行われています。
Telford Rural Polytechinic
Telford Rural Polytechinic
The Telford campus of Taratahi Agricultural Training Centre is located 6km from Balclutha in South Otago and is home to up to 120
サウス・オタゴにある農業系のポリテクニックです。921ヘクタールという商業ファームを所有し、ミルキングやえさの作り方など、酪農に必要な技術習得に力を入れています。
Taratahi Agrigultural Training Centre
Taratahi Agrigultural Training Centre
Get a rewarding career agriculture with Taratahi. Since 1919 Taratahi Agricultural Training Centre has led rural studies in Agricultural study on its multiple farms through out New Zealand.
酪農を含む農業系分野を専門的に学ぶことができます。トレーニングセンターでは酪農に関するあらゆる作業工程をOJT方式で実施しています。ほとんどの学生の就学期間は2年となっています。
3.酪農を経験から学ぶならファームステイがおすすめ
酪農大国であるニュージーランド。国内にはたくさんのファームが点在し、「ファームステイ」と呼ばれる農業・酪農体験型の滞在方法に人気が高まっています。
学校に通う前に、まずは酪農を経験する
酪農に興味があるけど、費用を払って学校にいくかどうか迷っている人はいませんか?それなら、酪農を実体験から学ぶことができるファームステイがおすすめです。英語環境でのファームステイでは生活に密着した英語が学べるほか、「酪農とはどんなものなのか」を自分の目で確かめることができる絶好のチャンスです。
ニュージーランド・ファームステイの魅力とは
酪農大国であるニュージーランドでは、多くの農家がファームステイを提供しています。ニュージーランドの典型的な生活を通し、かわいい動物とのふれあい、牛や羊の世話、ホストファミリーとの交流など、ファームステイの魅力は語り切れないほどあります。
あえてファームステイを選択する傾向を見てみると「ニュージーランドの暮らしに一日中触れることができる」「エコやオーガニックに興味がある」「英語が苦手でも優しく迎え入れてくれそう」という人が多いです。
留学初心者の方、また英語に自信がない方でも安心して滞在できる環境がファームステイにはあります。
費用の目安は1ヶ月で20万円~40万円程度
ファームステイの費用の目安はファームステイ先やプログラムの内容にもよりますが、およそ1ヶ月で20万円~40万円程度です。宿泊費、食事、ファームでのアクティビティ、送迎などがついているプランがほとんどなので、これに航空券代や海外保険代、現地での雑費などを加えれば全体的な費用が出てきますね。
ちなみに、3ヶ月、6ヶ月、1年と長期になるにつれて料金も格段に安くなり、プログラムによっては1年で50万以下でファームステイができるものも登場しています。
4.あなたに当てはまる?酪農家に向いている3つの特徴
酪農に興味はあるけど、果たして自分に向いているのかどうかがわからないという方もいるでしょう。次に挙げる3つにあなたが当てはまるなら酪農家の素質は十分ありますよ!
「早起きは三文の徳」にうなづける
酪農家の朝はとにかく早いのが特徴です。これは牛舎や羊舎の掃除から始まり、食事の準備、搾乳、子牛への哺乳などを決められた時間、すなわち、牛たちの生活のリズムに合わせて行っているからです。
ほとんどの酪農家は早朝と夕方の1日2回、決まった時間に搾乳を行います。牛や羊はとても繊細な動物であるため、徹底したルーティン作業が必要になりますが、基本的に朝早く起きることが好き!すなわち「早起きは三文の徳」を納得できる人にはピッタリの職業だと言えます。
根気強く、忍耐力がある
酪農家のもう一つの素質として挙げられるのが根気と忍耐があることです。生き物を扱う仕事の従事する人に広く言えることですが、動物に関する職業には多くの作業が求められます。
時には牛や羊が病気になったり、体調を崩すこともあるでしょう。そんなときは気長に根気よく様態を見続けなければなりません。その他、出産に立ち会ったり、たい肥を作ったり、根気よく取り込まなければならないことがたくさんあります。
「成功したい」という思いが人一倍ある
酪農の仕事は会社に通勤をし任された仕事をすることで、会社からお給料をもらうというスタイルとは異なります。一般的な会社勤めのように、同僚がいて、上司がいてという職場環境とは違う他、基本的に1から10までの作業工程を理解することが必須で、どのような戦略で経営を続けていくかというマネジメント的な資質も含まれます。
そして、あなたがもし「成功したい!」という思いが強ければ、厳しい酪農の世界でも十分戦っていけるはずです。さらに勉強熱心でアイデアが豊富な人なら、酪農家に向いていると言えるでしょう。
おまけのニュージーランド酪農知識【経営形態編】
最後にニュージーランドの3つの酪農経営形態をご紹介します。ニュージーランドでは生乳生産量の90%が加工用です。7月~8月に出産期を迎え、搾乳を開始。10月~11月が一年の生産ピークを迎えます。
オーナー経営
オーナー経営は農場の所有主が酪農経営を自ら行う方式で、国内酪農家数のはおよそ65%以上を占めています。運営に関する費用は個人負担になり、作業もすべて自分自身や家族によって行います。場合によっては管理マネージャーを雇う場合もあります。
コントラクトミルカー
農場のオーナーと直接契約を無過ぎ、搾乳などの作業を請け負う業者を指します。支払いは作業量に応じて設定される場合がほとんどです。
シェアミルカー
コントラクトミルカーと同じ作業を行いますが、報酬の受け取り方が異なるのがシェアミルカーの特徴です。作業代行の報酬を農場のオーナーと話し合い、合意した比率で収入を受け取ります。生産量が農場オーナーの収入に関わってくるため、技術力の高いミルカー向きであると言われています。
日本国内、また海外で酪農家としてデビューしたいなら、ニュージーランド酪農留学がおすすめです。どこまでも広がるファームの光景、何万頭の牛や羊たち、そして高い水準を誇る酪農学校で学べる知識や技術は、酪農家になるための希望と自信を与えてくれるはずです。
酪農に興味がある人にはファームステイから初めてみるのもよいと思います。生きた英語が学べるほか、牛や羊に囲まれた生活を通して自分自身への「気付き」「ひらめき」があるかもしれません。まずは、時間を作ってチャレンジしてみることが一番ですよ!